「人生にかかるお金」は、予測できる。

💡 この記事でわかること
結婚、子育て、住宅購入、介護――人生には予測可能な「大型イベント」がいくつもある。この記事では、FPが使う実務資料をベースに、それぞれの費用を具体的にシミュレーションし、FIREや将来設計に役立つ現実的な金額感と考え方を共有します。
【将来が見える】人生のライフイベントとその費用を徹底シミュレーション

はじめに:未来が不安なのは「見積もっていないから」

FIREを目指すうえで、多くの人が最初につまずくのが「いくら貯めればいいのか分からない」という疑問です。 この問題の根っこには、「人生にいくらかかるのか」をきちんと把握していない、というシンプルな事実があります。

未来が不安なのは、未来を見積もっていないから。 逆に言えば、「何歳で何が起きて、いくらかかるのか」が見えてくれば、不安は具体的な対策へと変わっていきます。

この記事では、ファイナンシャルプランナー(FP)が実際に相談者向けに使う裏資料をもとに、 「人生で起こり得るイベント」と「その費用感」 を、わかりやすく、できるだけ現実的な形で整理していきます。

ライフイベント一覧と平均的な発生時期

まずは、一般的なライフイベントとその発生時期をざっくりと一覧にしてみましょう。 (以下の数字はあくまで目安であり、すべてが当てはまる必要はありません)

ライフイベント発生時期(目安)主な費用項目
結婚30歳前後挙式・披露宴、指輪、新生活準備など
出産・育児30〜40代医療費、出産準備、保育費用、教育資金
住宅購入30〜40代頭金、住宅ローン、維持費用
子の教育費0〜22歳幼稚園〜大学までの学費・塾・習い事
車の買替10〜15年周期車両本体、保険、維持費
親の介護50代〜介護施設、在宅介護、医療費
自身の老後60代〜生活費、医療費、趣味・旅行、住宅リフォーム

イベント別:具体的な費用感

結婚(平均300〜500万円)

ゼクシィやFP協会のデータによると、国内で一般的な結婚式を挙げると総費用は約350万円。 ここに指輪や新婚旅行、新生活準備が加わると、合計500万円前後かかるケースもあります。

✅ FIRE目線でのポイント →「結婚式をしない」という選択も十分アリ。価値観に応じて「見栄にかけるお金」は削減可能。

出産・育児(0歳〜大学卒業まで:2000万円〜3000万円)

文部科学省とFP資料を組み合わせると、子ども一人あたりにかかる費用の総額は以下のとおり:

  • 出産・乳幼児期:約100万円
  • 小中高(公立):約500万円
  • 大学(私立文系):約700万円
  • その他(習い事・塾など):約700〜1000万円

✅ FIRE目線でのポイント → 子どもの人数と教育方針は「人生設計の分岐点」。価値観次第で、FIREの難易度は大きく変わる。

たかしさん

出産から大学卒業までに2000万〜3000万円って…そんなにかかるんですか? ちょっと現実感がないんですが、実際みんなそのくらい使ってるんですか?

たかしさん
フィエル仙人

たしかに「子ども一人で3000万円」と聞くと、驚くよね。ただ、この金額は習い事や塾、私立大学まで含めた“最大値”に近い。公立中心で無理のない教育方針なら、2000万円以下も十分あり得る。重要なのは、自分たちの価値観に合ったプランを描くことじゃ。

フィエル仙人

住宅購入(3000万円〜4000万円)

マイホームは人生最大の支出イベントのひとつ。 ただし、賃貸 vs 購入はライフスタイルやFIRE方針で大きく変わります。

  • 購入費用:頭金500万円〜、ローン返済総額2500〜3500万円
  • 維持費:固定資産税・修繕費・火災保険など年間30万〜50万円

✅ FIRE目線でのポイント →「住宅に縛られない自由」がFIREの醍醐味なら、購入は慎重に。住居コストは最重要項目です。

たかしさん

住宅購入に4000万円って、ちょっと高く感じます…。もっと安く抑える方法ってあるんでしょうか?

たかしさん
フィエル仙人

良い質問じゃ。都市部か地方か、新築か中古か、マンションか戸建てか──条件次第でかなり違ってくる。共働きで住宅ローンを組めば手が届くケースもあるし、FIREを優先するなら「買わずに賃貸」の選択肢も強い。家は“投資”というより“支出”と考えるのがポイントじゃな。

フィエル仙人

親の介護(500万〜1000万円)

介護が必要になるのは、親世代が80歳を超えた頃が多いと言われています。

  • 自宅介護:年間50〜150万円(ヘルパーや介護用品など)
  • 施設介護:月額15万〜30万円(民間型の場合)
  • 平均的な介護期間:4年〜7年

✅ FIRE目線でのポイント → 「親の介護」は突発的に始まる。遠距離や一人っ子家庭は特に早めの備えを。

たかしさん

親の介護って、自分が50代とか60代の話ですよね? まだまだ先な気がするんですが、今から備える意味ってあるんですか?

たかしさん
フィエル仙人

先のことに感じるのも無理はないが、実際は40代で突然始まるケースも多い。特にひとりっ子や親が遠方に住んでいる場合、介護と仕事の両立で大変な負担になる。保険や貯蓄、兄弟との分担ルールなど、備えておくことで「いざ」というときに慌てずに済むのじゃ。

フィエル仙人

自身の老後(最低2000万円〜)

  • 公的年金だけでは月5〜7万円不足(総務省家計調査)
  • 自由な生活(旅行・趣味)を含めると、月20〜25万円は想定したい
  • 85歳まで生きると仮定して、65歳以降の20年間で最低2000万円〜3000万円が必要

✅ FIRE目線でのポイント → 長生きリスクを過小評価しない。「老後の生活費×年数」で逆算しよう。

自作できる「ライフイベント予測表」のすすめ

ここまで見てきたライフイベントと費用感を、次は自分の人生に当てはめて「表」にするのがオススメです。

例:ライフイベント予測表(簡易版)

年齢イベント予想費用
30歳結婚300万円
35歳第一子誕生100万円
38歳マイホーム購入4000万円
.........

Googleスプレッドシート等で管理しておけば、定期的な見直しにも便利です。

たかしさん

自作のライフイベント表って言われても、そもそも何を書けばいいのか分からないです…

たかしさん
フィエル仙人

まずは「自分がやりたいこと」「起こりそうなこと」を時系列で並べてみよう。結婚、出産、引っ越し、転職、旅行…何でもOK。金額はざっくりで構わん。大事なのは“考えること自体”じゃ。未来を自分の言葉で描けるようになると、資産形成の軸がしっかりしてくるぞ。

フィエル仙人

FIRE実現のカギは「支出から逆算する力」

FIREを成功させている人の多くは、「いくら必要か」から逆算して行動しています。

  • 目標額があるから、貯金・投資が具体的になる
  • ライフイベントを知っているから、無駄を減らせる
  • 精神的な不安が減るので、継続しやすくなる

逆に、「なんとなく」FIREを目指していると、途中で迷子になったりモチベーションが下がりがちです。

さいごに:今月中にやっておきたい3つのこと

  1. 自分のライフイベント予測表をつくってみる
  2. 現時点の支出と貯蓄を一覧化する(ライフイベントとのギャップを見る)
  3. 近いイベント(例:結婚、住宅など)に向けた資金計画を立てる

FIerlyのシミュレーションなら具体的なライフイベントを考慮した高度な資産シミュレーションができるので、ぜひ活用してみてください。

▼ 30歳で結婚、34歳で出産を控えている方のシミュレーション例 FIerlyのシミュレーション


「お金の未来」は、予測と準備で手懐けることができます。 あなたのFIRE達成が、今日の一歩から始まることを願っています。

補足資料:ライフイベントと費用一覧

以下に、20代が経験しうるライフイベントをカテゴリ別に分類し、それぞれの**概算費用(目安)**を表形式でまとめました。金額は日本国内で一般的なケースを想定していますが、都市部と地方、個人の選択によって幅があります。 (※単位は万円。一部の費用はライフタイムまたは一時金ベースで記載)


💼 キャリア・働き方

イベント概算費用(万円)備考
初めての就職準備5〜10スーツ・引越・通勤定期など
転職活動5〜15書類作成、面接対策、転居等
異業種へのキャリアチェンジ10〜50スクール受講費、収入減の補填
昇進・昇給±0収入増加でカバー可能
副業を始める5〜20機材・サイト作成などの初期投資
フリーランスとして独立30〜100登記、機材、事務所など
資格取得10〜50資格による(例:簿記、FP、TOEICなど)
バーンアウトからの回復10〜30通院費や失業期間の生活費
リストラ・退職数十〜数百再就職までの生活費
海外勤務・移住50〜200渡航費、現地住居、ビザなど

💰 お金・資産形成

イベント概算費用(万円)備考
奨学金の返済200〜400日本学生支援機構の場合など
クレジットカード借金返済10〜100利用額に依存
初めての投資(NISAなど)1〜10/月少額から可、定期積立向き
急な出費(家電・医療など)10〜30家電買替、歯科、入院など
家計改善にかかるコスト0〜5アプリ・相談料など
節税対策(ふるさと納税など)2〜10控除枠の範囲内
保険加入2〜10/年民間医療・生命保険など
詐欺・情報商材の被害数万円〜100万円被害事例多い
FIREに向けた金融知識の習得0〜10書籍・セミナー等
マネーリテラシー勉強0〜5無料コンテンツも多い

🏡 住まい・生活

イベント概算費用(万円)備考
一人暮らし開始30〜70敷金礼金、家具家電など
引越し10〜30単身・距離により変動
家具・家電の買い替え5〜20/年築年数・ライフスタイルで変動
同棲のための引越し・準備30〜60費用分担あり
マンション購入3000〜6000頭金・諸費用含む
シェアハウス生活月5〜8地域・設備により変動

❤️ 恋愛・結婚

イベント概算費用(万円)備考
マッチングアプリ、恋活月0〜1無料〜月額制
交際月2〜5デート、プレゼントなど
同棲スタート30〜50初期費用・家具家電など
婚約〜結婚式300〜500挙式+披露宴
両家顔合わせ5〜10会食代等
婚姻届提出0行政手続きのみ
結婚指輪20〜60ペア価格
新婚旅行30〜100行き先・期間により変動
離婚・別居10〜100+慰謝料・引越し・弁護士費用など

👶 子ども・家族形成

イベント概算費用(万円)備考
妊娠・出産50〜80出産一時金で一部カバー可
育児休業・復職0〜100収入減+保育料等
教育資金準備(18歳まで)500〜1000+塾・習い事含む
保育園・幼稚園費月2〜6公立・私立で差大
子どもの病気・怪我数千〜数万円保険でカバー可能もあり
二人目以降の子育て500〜1000+上記と同様に積み重なる

🧠 心身の健康・自己理解

イベント概算費用(万円)備考
メンタル不調による通院・休職5〜50医療費+生活費補填
健康診断・人間ドック1〜5企業負担外の場合
セラピー・カウンセリング1〜10/回民間・保険外
人生観の再構築・リトリート5〜30合宿形式・書籍・旅費など
自己分析ツール・コーチング2〜20オンライン含む

👵 家族・老後準備

イベント概算費用(万円)備考
親の介護開始数十〜数百月額5〜15万程度も
親の入院・手術10〜100+高額療養費制度活用可
相続トラブル・手続き10〜50弁護士・税理士費用含む
実家の片付け・処分50〜200解体費・リフォーム費など
自分の老後資金の準備3000〜6000FIREや年金不足の備えとして